処方せんにより交付できる注射薬は,厚生労働大臣が定める注射薬に限定されています。以下にその注射薬を示しますが,在宅中心静脈栄養法用輸液や電解質製剤のように包括的な名称のものもあり、注射薬によっては判別しにくいものもあります。個別に確認したいときは、鈴鹿亀山薬剤師会事務局までご照会ください。ただし、明快に判断できない事例もありますのでご了承ください。
厚生労働大臣が定める保険医が投与可能な注射薬(処方せん交付可)-H30.5現在
No | 薬局で調剤できる注射薬製剤 | 薬 効 | IVH等 | 自己注射 | 薬剤名例示 |
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1 | インスリン製剤 | 血糖降下剤 | ○ | ノボラピッド注 | |
2 | 性腺刺激ホルモン製剤 | 性腺刺激剤 | ○ | フォリスチム注 | |
3 | ヒト成長ホルモン剤 | ヒト成長ホルモン | ○ | ノルディトロピンS注 | |
4 | 遺伝子組換え活性型血液凝固第Ⅶ因子製剤 | 血友病治療薬 | ○ | ノボセブン静注用シリンジ | |
5 | 遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤 | 血友病治療薬 | ○ | ノボエイト静注用 | |
6 | 遺伝子組換え型血液凝固第Ⅸ因子製剤 | 血友病治療薬 | ○ | リクスビス静注用 | |
7 | 乾燥濃縮人血液凝固第Ⅹ因子加活性化第Ⅶ因子製剤 | 血友病治療薬 | ○ | - | |
8 | 乾燥人血液凝固第Ⅷ因子製剤 | 血友病治療薬 | ○ | クロスエイトMC注射用 | |
9 | 乾燥人血液凝固第Ⅸ因子製剤 | 血友病治療薬 | ○ | ノバクトM静注用 | |
10 | 顆粒球コロニー形成刺激因子製剤 | 好中球減少病治療薬 | ○ | グランシリンジ | |
11 | 性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤 | 性腺刺激剤 | ○ | ヒポクライン注射液 | |
12 | ソマトスタチンアナログ | 先端巨大症/下垂体巨人症治療薬 | ○ | サンドスタチン皮下注用 | |
13 | ゴナドトロピン放出ホルモン誘導体 | 性腺刺激剤 | ○ | スプレキュア皮下注用 | |
14 | グルカゴン製剤 | 血糖上昇剤 | ○ | グルカゴンG・ノボ注射用 | |
15 | グルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニスト | 血糖降下剤 | ○ | ビクトーザ皮下注 | |
16 | ヒトソマトメジンC製剤 | インスリン受容体異常症改善薬 | ○ | ソマゾン注射用 | |
17 | インターフェロンアルファ製剤 | C型肝炎等 | ○ | スミフェロン注DS | |
18 | インターフェロンベータ製剤 | 多発性硬化症 | ○ | フェロン注射用 | |
19 | エタネルセプト製剤 | リウマチ治療薬 | ○ | エンブレル皮下注 | |
20 | ペグビソマント製剤 | 成長ホルモン受容体拮抗薬 | ○ | ソマバート皮下注 | |
21 | スマトリプタン製剤 | 片頭痛治療薬 | ○ | イミグランキット皮下注 | |
22 | グリチルリチン酸モノアンモニウム・グリシン・L-システイン塩酸塩配合剤 | 肝臓疾患治療薬 | ○ | 強力ネオミノファーゲンシー静注 | |
23 | アダリムマブ製剤 | リウマチ治療薬 | ○ | ヒュミラ皮下注 | |
24 | テリパラチド製剤 | 骨粗鬆症治療剤 | ○ | フォルテオ皮下注 | |
25 | アドレナリン製剤 | アナフィラキシー症状対処薬 | ○ | エピペン注射液 | |
26 | ヘパリンカルシウム製剤 | 血栓性素因治療薬 | ○ | ヘパリンカルシウム皮下注「モチダ」 | |
27 | アポモルヒネ塩酸塩製剤 | パーキンソン病治療薬 | ○ | アポカイン皮下注 | |
28 | セルトリズマブぺゴル製剤 | リウマチ治療薬 | ○ | シムジア皮下注 | |
29 | トシリズマブ製剤 | リウマチ治療薬 | ○ | アクテムラ皮下注 | |
30 | メトレレプチン製剤 | 脂肪萎縮症治療薬 | ○ | メトレレプチン皮下注 | |
31 | アバタセプト製剤 | リウマチ治療薬 | ○ | オレンシア皮下注 | |
32 | pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射)製剤 | 無又は低γ-グロブリン血症 | ○ | ハイゼントラ20%皮下注 | |
33 | アスホターゼアルファ剤 | 低ホスファターゼ治療薬 | ○ | ストレンジック皮下注 | |
34 | グラチラマー酢酸塩製剤 | 多発性硬化症 | ○ | コパキソン皮下注シリンジ | |
35 | セクキヌマブ製剤 | 乾癬治療薬 | ○ | コセンティクス皮下注ペン | |
36 | エボロクマブ製剤 | 高コレステロール血症 | ○ | レパーサ皮下注ペン | |
37 | アリロクマブ製剤 | 高コレステロール血症 | ○ | プラルエント皮下注ペン | |
38 | ブロダルマブ製剤 | 乾癬治療薬 | ○ | ルミセフ皮下注シリンジ | |
39 | ベリムマブ製剤 | 全身性エリテマトーデス | ○ | ベンリスタ皮下注シリンジ | |
40 | サリルマブ製剤 | リウマチ治療薬 | ○ | ケブザラ皮下注シリンジ | |
41 | イキセキズマブ製剤 | 乾癬治療薬 | ○ | トルツ皮下注80mgオートインジェクター | |
42 | ゴリムマブ製剤 | 関節リウマチ | ○ | シンポニー皮下注50mgシリンジ | |
43 | エミシズマブ(遺伝子組換え) | ○ | ヘムライブラ皮下注30mg他 | ||
44 | ブプレノルフィン製剤注7) | 鎮痛剤 | ● | レペタン注 | |
45 | モルヒネ塩酸塩製剤注7) | 鎮痛剤(麻薬) | ● | 塩酸モルヒネ注射液 | |
46 | フェンタニルクエン酸塩製剤注7) | 鎮痛剤(麻薬) | ● | フェンタニル注射液 | |
47 | 複方オキシコドン製剤注7) | 鎮痛剤(麻薬) | ● | パビナール注 | |
48 | フルルビプロフェンアキセチル製剤注7) | 鎮痛剤 | ● | ロピオン静注 | |
49 | オキシコドン塩酸塩製剤注7) | 鎮痛剤(麻薬) | ● | オキファスト注 | |
50 | 抗悪性腫瘍剤注8) | - | ● | - | |
51 | プロスタグランジンⅠ2製剤注2) | 肺動脈性肺高血圧症 | ○ | トレプロスト注射液 | |
52 | 自己連続携行式腹膜灌流用灌流液注3) | 腹膜灌流 | ○ | ダイアニールPD-2 | |
53 | 人工腎臓用透析液注4) | ○ | バイフィル透析液 | ||
54 | 在宅中心静脈栄養法用輸液注6) | 中心静脈栄養補給 | ○ | エルネオパNF1号・2号輸液等 | |
55 | ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム製剤 | ステロイド系消炎剤 | ○ | リンデロン注 | |
56 | デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム製剤 | ステロイド系消炎剤 | ○ | デカドロン注射液 | |
57 | プロトンポンプ阻害剤 | 潰瘍治療薬 | ○ | タケプロン静注用 | |
58 | H2遮断剤 | 潰瘍治療薬 | ○ | ガスター注射液 | |
59 | カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム製剤 | 血管強化薬 | ○ | アドナ注 | |
60 | トラネキサム酸製剤 | 抗プラスミン薬 | ○ | トランサミン注 | |
61 | メトクロプラミド製剤 | 消化管機能異常 | ○ | プリンペラン注射液 | |
62 | プロクロルペラジン製剤 | 悪心,嘔吐の防止薬 | ○ | ノバミン筋注 | |
63 | ブチルスコポラミン臭化物製剤 | 鎮痙剤 | ○ | ブスコパン注射液 | |
64 | 脂肪乳剤 | 栄養補給 | ○ | イントラリポス輸液 | |
65 | エダラボン製剤注1) | 筋委縮性側索硬化症 | - | - | ラジカット点滴静注バッグ |
66 | エリスロポエチン注5) | 人工透析患者用 | - | - | エスポー皮下用シリンジ |
67 | ダルベポエチン注5) | 人工透析患者用 | - | - | ネスプ注射液プラシリンジ |
68 | 電解質製剤注9) | 電解質補給 | - | - | ソルデム3A,ビーフリード |
69 | 注射用抗菌薬注10) | 感染症治療薬 | - | - | ロセフィン点滴静脈注射用1gバッグ |
70 | 血液凝固阻止剤 | 抗凝固作用 | - | - | ヘパリンナトリウム注 |
71 | 生理食塩水 | - | - | - | |
72 | 注射用水 | - | - | - |
備考1 「自己注射」は,在宅C101 在宅自己注射指導管理料の対象注射薬(特掲診療科の施設基準等別表第九に掲げる注射薬)。製剤によっては,対象疾病等の制限があります。
備考2 「IVH等」は,C102在宅自己腹膜灌流指導管理料,C102-2在宅血液透析指導管理料,C104在宅中心静脈栄養法指導管理料,C108 在宅悪性腫瘍等患者指導管理料,108-2 在宅悪性腫瘍等患者共同指導管理料,C111在宅肺高血圧症患者指導管理料等の対象注射薬
注1) 筋委縮性側索硬化症患者に対して使用する場合に限る。
注2)「医科点数表C111在宅肺高血圧症患者指導管理料」の対象薬剤。
注3)「医科点数表C102在宅自己腹膜灌流指導管理料」の対象薬剤。
注4)「医科点数表C102-2在宅血液透析指導管理料」の対象薬剤。
注5) 在宅血液透析又は在宅腹膜灌流を行っている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して使用する場合に限る。
注6) 「医科点数表C104在宅中心静脈栄養法指導管理料」の対象薬剤。「在宅中心静脈栄養法用輸液」とは,高カロリー輸液をいい,高カロリー輸液以外にビタミン剤,高カロリー用微量元素製剤及び血液凝固阻止剤を投与することができる。なお,院外処方可能な注射薬のうち,処方医及び保険薬剤師の医学薬学的な判断に基づき適当と認められるものについて,在宅中心栄養法用輸液に添加して投与することは差し支えない。
注7)及び注8) 「医科点数表C108 在宅悪性腫瘍等患者指導管理料(在宅における鎮痛療法又は悪性腫瘍の化学療法*1))」の対象薬剤。
*1)「在宅における鎮痛療法*2)又は悪性腫瘍の化学療法*3)」とは,末期*4)の悪性腫瘍又は筋萎縮性側索硬化症若しくは筋ジストロフィーの患者であって,持続性の疼痛があり鎮痛剤の経口投与では疼痛が改善しないため注射による鎮痛剤注入が必要なもの又は注射による抗悪性腫瘍剤の注入が必要なものが,在宅において自ら実施する鎮痛療法又は化学療法をいう。
*2) 「鎮痛療法」とは,ブプレノルフィン製剤,モルヒネ塩酸塩製剤,フェンタニルクエン酸塩製剤,複方オキシコドン製剤,オキシコドン塩酸塩製剤又はフルルビプロフェンアキセチル製剤を注射又は携帯型ディスポーザブル注入ポンプ若しくは輸液ポンプを用いて注入する療法をいう。なお,モルヒネ塩酸塩製剤,フェンタニルクエン酸塩製剤,複方オキシコドン製剤又はオキシコドン塩酸塩製剤を使用できるのは,以下の条件を満たすバルーン式ディスポーザブルタイプの連続注入器等に必要に応じて生理食塩水等で希釈の上充填して交付した場合に限る。
ア 薬液が取り出せない構造であること
イ 患者等が注入速度を変えることができないものであること
*3)「化学療法」とは,携帯型ディスポーザブル注入ポンプ若しくは輸液ポンプを用いて中心静脈注射若しくは植込型カテーテルアクセスにより抗悪性腫瘍剤を注入する療法又はインターフェロンアルファ製剤を多発性骨髄腫,慢性骨髄性白血病,ヘアリー細胞白血病又は腎癌の患者に注射する療法をいう。
外来と在宅において化学療法を行うものについては,主に在宅において化学療法を行う場合は在宅悪性腫瘍等患者指導管理料を算定し,主に外来で行う場合には在宅悪性腫瘍等患者指導管理料は算定せず,注射手技料及び基準を満たす場合には外来化学療法加算等を算定する。なお,外来で抗悪性腫瘍剤の注射を行い,注入ポンプなどを用いてその後も連続して自宅で抗悪性腫瘍剤の注入を行う等の治療法のみを行う場合は当該指導管理料の対象には該当しない。
*4) 対象となる患者が末期であるかどうかは在宅での療養を行っている患者の診療を担う保険医の判断によるものとする。なお,化学療法の適応については,末期でない悪性腫瘍の患者も末期の悪性腫瘍の患者に準じて取り扱う。
注9)「電解質製剤」とは,経口摂取不能又は不十分な場合の水分・電解質の補給・維持を目的とした注射薬(高カロリー輸液を除く。)をいい,電解質製剤以外に電解質補正製剤(電解質製剤に添加して投与する注射薬に限る。),ビタミン剤,高カロリー輸液用微量元素製剤及び血液凝固阻止剤を投与することができる。
注10)「注射用抗菌薬」とは,病原体に殺菌的又は静菌的に作用する注射薬をいう。
(薬剤に関する事務連絡)
(問)C200薬剤において,「厚生労働大臣の定める注射薬のうち,『注射用抗菌薬』とは,病原体に殺菌的又は静菌的作用する注射薬をいう。」とあるが,抗真菌薬と抗インフルエンザ薬についても該当するか。
(答)該当する。 (平26.4.10 医療課事務連絡)